徒然制作日記 MORIO
初の立体物への挑戦。 最初の画材として、使い慣れた石膏を選んだ。 石膏柱 この石膏の大きさは横約40mm、縦約80mmである。 これで何か作れないか。 最初に作る題材として適切なのはシンプルかつ練習になりそうな物である。 という事で描いたのがこのMORIOくん。 MORIO図案 当初このMORIOくんの名前は「FF(※1)に出てきたヤツ」というとても適当な名前であった。 「こいつは“FFに出てきたヤツ”なんだよ」とFFをやった事無い人に見せて歩き、FFに対して何かしらの偏見を持たせる、という意味のない企みの元に付けられた名前であったが、とある友人が「なんか"もりお"って感じだなぁ」と言ったのを凄く気に入ってしまったという情けない由来による。 詳細設定で MORIO 岩手の県庁所在地盛岡(MORIOKA)のマスコットキャラクターになるべくして生まれた亜人。 出生場所は岩手山。好物は冷麺(※2)とわんこそば(※2)。現住所は岩手公園。 というのがあったりする。 むしろ嫌いな物を名産品にしようとか、ジャジャ麺(※2)のようなボブヘアーにしようとか色々案があったりもしたが、無難な所に落ち着いていたりする。 MORIOくんを作ろう。 今回は準備していたワケでは無いので、写真は少なめである事を先に断っておく。 石膏から立体を掘り出すという作業で重要な事は、事前に細かい所まで正確に測る事である。 MORIOくんの手を含めた横幅はどれくらいか。身長はどれくらいか。唇や鼻の横幅はどれくらいか。でべそはどれくらい突き出ているか。 精密に測る道具としてノギス(※3)が最も良いと思われる。 今回使用したのもノギスだが、頑張れば物差しで出来なくもない。 最初に石膏柱の縦の中心に線を引き、そこを中心にして絵を描いていく。勿論精密に測った通りに描く。 ちなみに私が使用しているのは色鉛筆である。 シャープペンだと固すぎて石膏が削れてしまい、逆に鉛筆だと水に浸した際(※4)の色落ちが激しく、結果色鉛筆が最も良い・・・と思う。他によく使われていた油性ペンは使った事がない。 まず最初に横の面に描く。描いたらその外側の線に沿って垂直削り落としていき、次に縦の面に絵を描き、またその外側の線に沿って垂直に削り落としていく。 こうすると、荒削りな角張ったMORIOくんが誕生する。写真が無いのは申し訳ない限りである。 さて次に角を落としていくわけだが、図案で前横上の三方向しかないMORIOくんは、斜めのカーブは想像しながら落とすしかない。 ここが肝心、間違えて彫りすぎると作品が台無しになってしまうため、念入りに彫っていく。 でべそのカーブや鼻と唇の間など、MORIOくんも気を付けなければならないポイントがいくつかあるためなかなか気の抜けない作業となる。 さて、そんなこんなで掘り終わったMORIOくんは、この様な出来である。 MORIO無着色 前から 横から ここからさらに紙ヤスリでカーブを綺麗にしていく。 使用したのは160と240。あるようならば240よりももっと細かい目の方が適切である。 裏技のような方法としては、水を含ませた布でゴシゴシ拭く事により表面をなめらかに出来るが、作品にむやみに力を加えないためにも極力紙ヤスリで仕上げたいところ。 満足するなめらかさになったら、少し乾燥させる。ある程度乾燥したところでいよいよ着色。 MORIOくんの図案には色は無いが実際には色も準備しておく事が望ましい。 亜人な雰囲気を出すために肌の色は黄土色、突き出た唇は生えるようにパーマネントピンクを用いる。 使用する画材は「アクリルガッシュ(※5)」。 アクリルガッシュは紙から石ころまで、なんにでも描けるため非常に便利な画材である。 逆に一度服に付着するとなかなか取れないため、エプロンなどを着て作業する事をお勧めする。 着色する際に気を付けたいのは、石膏の「水を含むと膨張する」という性質である。 そのため、アクリルガッシュにはあまり多くは水を含ませないように注意したい。 石膏の膨張よりも絵の具の乾燥が早かった場合、絵の具にひび割れが生じてしまう。 さらにもう一つ。 最初に黄土色を使うワケだが、この時唇に少しはみ出るくらいに塗っておきたい。 あまりギリギリに塗ると、次に塗った色との間に微妙な塗り残しが生じてしまうのだ。 小さな隙間を埋めるのは意外と手間暇が掛かるためなるだけ避けるようにしたい。 色のムラを避けるためにも2〜3回上塗りを行う。 そして、MORIOくん完成。 MORIOくん 前から 横から アクリルガッシュの特徴として乾燥した絵の具はシックなつや消しになる。 これも相まって、なかなか小綺麗な作品となった。 俗に言う「キモカワイイ」という分類なのか、人気があるMORIOくんである。 次回、これから得た経験を元に頭蓋骨に挑む。 ※1 FF(ファイナルファンタジー) 某大手のRPGゲーム。ファンタジックな世界観とクリスタルを巡る壮大なストーリーで根強いファンを多く保持している。誤解の無いように書いておくが、朝梟はFF大好きである。 朝梟はFF6をクリア(スタッフロールが流れるまでゲームを進める事)したが、1,5,7,10は途中で進めるのを止めてしまった。原因は時に天災(データの消失)であったり人災(勝手に売られた)であったりするが、不思議とまたやりたくなってしまうのはFFの魅力のせいだろう。 外伝的なゲームとしてはファイナルファンタジータクティクス(FFT)をクリアしたが、キングダムハーツはクリア出来なかった。ホロウバスティオンで弟にソフトを売られてしまったのは今思いだしても悔しい。 ※2 冷麺、ジャジャ麺、わんこそば 岩手県は麺どころであり、名産品として麺類が数多くある。 朝梟はわんこそば101杯という記録を保持しており、風邪で咳がさえ出てなければもっと食べられたのに、と吹聴している。 朝梟はジャジャ麺よりも冷麺派である。 また冷麺は焼き肉屋で出される事から、岩手県ではそこかしこで焼き肉が食べられる。 ※3 ノギス 精密測定用の道具。幅や深さなど、色々な場所を使い0.05mmまで正確に測る事が出来る。 朝梟の大学ではこれを一年間という期限付きで貸し出される。なぜならば、ノギス一つがPS3(プレイステーション3)の40GBが楽々買えてしまう位高いのだ。 石膏を型取りするためのシリコンも「貸し出し」であり、言うなれば期限付きの制作であると言えよう。 返却後は後輩から借用しようと画策しているのは秘密である。 ※4 水に浸す 石膏は作られ方にもよるが普通はとても固い。彫刻刀で彫っていくと大抵手にマメが出来る。 しかしながら水を吸収させる事によって少しだけ柔らかくする事が出来るため、浸しては彫り、彫っては浸してという作業になるのだ。 石膏柱を作る際、学生は比率よりも多く水を混ぜて柔らかい石膏柱を作り作業をラクにするが、作品として残すならば固い石膏柱の方が良いのは言うまでもない。 ※5 ガッシュ 漫画「金色のガッシュ!!」の主人公ペアの片方。口から電撃を吐いたり「うぬぅ・・・」とか言ったりする。ブリが好物。 なかなか面白い漫画。特に最終巻(全33巻)は漫画好きの知り合いに、「最終巻で泣かなかったら人では無い」と言わせる程のクオリティを持つ。 朝梟は展開に唸りはしたが泣かなかったのは秘密。 [Back] [Top] |